板厚別に選ぶ中古プレス機械の最適仕様ムダな能力オーバー・不足を防ぐ選定のコツ

中古プレス機械を選ぶ際、「どの板厚ならどれくらいの能力（t数）が必要か」「どの仕様が合っているか」で迷うケースは少なくありません。
板厚に対して過大な能力のプレスを選ぶと設備コストやランニングコストが増え、逆に能力不足では品質不良や故障リスクが高まります。
本記事では、板厚別に見る中古プレス機械の最適仕様の考え方と、選定時に押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。

① 板厚別にプレス仕様を選ぶことが重要な理由

• 能力不足による品質不良：板厚に対して能力が不足すると、打ち抜き不良や曲げ角度のバラつきが発生しやすくなります。
• 過大能力によるコスト増：必要以上に大きな能力のプレスは、イニシャルコスト・電気料金ともに割高になります。
• 金型寿命への影響：適正能力から外れた機械を使うと、金型に過大負荷がかかり寿命を縮める要因になります。
• 安全性の確保：能力ギリギリでの運転は、設備負荷が大きくトラブル時のリスクも高まります。
• 将来の品種変更への対応：想定板厚レンジを踏まえた仕様選定により、将来の製品変更にも柔軟に対応しやすくなります。

② 板厚とプレス能力（t数）の目安

• 薄板（〜1.0mm）：小〜中容量プレス（〜45t程度）が中心で、打ち抜き面積・材質に応じて能力を決定します。
• 中板（1.0〜3.2mm程度）：60〜110tクラスが候補となることが多く、開発品や将来の厚板対応も視野に入れて選定します。
• 厚板（3.2mm以上）：150t以上のプレスが必要になるケースも多く、金型構造・加工工程とのバランスが重要です。
• 材質による違い：一般鋼板かハイテン材かによって必要能力が変わるため、板厚だけでなく材質情報も必須です。
• 安全率の設定：計算上の必要能力に対して、余裕を見た安全率（1.2〜1.5倍程度）を見込んで選ぶのが一般的です。

③ 板厚別に確認したいストローク・スライド・ボルスター条件

• ストローク長：厚板になるほど変形量が大きくなり、必要ストローク長も増える傾向があります。
• スライド面積：板厚が増すと金型も大型化しやすく、スライド面積・ボルスター寸法がボトルネックになる場合があります。
• シャットハイト：板厚・金型構造・ダイハイトに合わせて、シャットハイトの適合確認が必須です。
• ボルスター穴・T溝：金型の取り付け方法やクランプ位置が適合するか、板厚に伴う金型サイズを想定して確認します。
• スライド調整量：板厚や金型の変更に柔軟に対応するには、十分なスライド調整量がある機種が安心です。

④ 板厚別仕様選定の実務ポイント

• 加工内容の確認：打ち抜き・曲げ・絞りなど、加工種別によって必要能力が変わるため、板厚と合わせて整理します。
• 製品サイズ・打ち抜き面積：板厚だけでなく、打ち抜き長さ・面積から必要能力を算出することが重要です。
• 生産タクト：量産か多品種少量かにより、プレス能力とストローク数のバランスを考慮します。
• 既存金型とのマッチング：板厚レンジとともに、手持ち金型がそのまま使えるかを確認することで、ムダな投資を防げます。
• 将来の板厚レンジも見据える：現行製品だけでなく、想定される将来製品の板厚を踏まえて能力に余裕を持たせると安心です。

⑤ 板厚とプレス仕様の目安一覧表

⑥ まとめ：板厚に合った仕様選定でトラブルを未然防止

中古プレス機械の選定では、「板厚」「材質」「金型サイズ」「加工内容」を整理し、過不足のない能力と仕様を選ぶことが重要です。
板厚別の目安を押さえておくことで、能力不足による品質不良や、過大能力によるコスト増・設備負荷を避けることができます。
具体的な製品図面や金型仕様がある場合は、中古機販売業者や専門業者に相談しながら選定することで、現場に最適な中古プレス機を導入しやすくなります。

よくある質問（FAQ）