中古トータルステーションの故障しやすい箇所とその対策長期運用のために知っておきたい実務ポイント

トータルステーションは高精度な測量機器であるため、内部には多くの精密部品が使われています。
中古品では経年劣化や使用環境の影響により、特定の箇所が故障しやすい傾向があります。
本記事では、中古トータルステーションで特に故障しやすいポイントと、長期的に安定運用するための対策をわかりやすく解説します。

① 故障原因の多くは「精密部品の劣化」

• 使用年数による劣化：内部基盤・光学系・センサーが経年で精度低下。
• 屋外使用環境の影響：砂塵・湿気・温度差が内部部品を痛める。
• 落下・衝撃：外装は無事でも内部センシング部にズレが生じる。
• バッテリー劣化：稼働時間が短縮し、電圧低下で動作不安定に。
• 保管環境の不良：湿気・温度上昇・密閉によるカビ発生が光学系に影響。

② 故障しやすい主要箇所と症状

• 光学系（レンズ・プリズム）：曇り・傷・内部カビにより測距不能や精度低下。
• 光波測距部：レーザー出力低下・受光部不具合で距離誤差が増加。
• エンコーダー：角度検出のズレや読み取り異常が発生。
• 自動補正ユニット：水平・傾斜補正が異常となり測量結果に誤差発生。
• モーター（自動追尾型）：追尾速度低下やロスト頻発の原因。
• ディスプレイ・ボタン：反応不良・液晶焼け・割れなどの故障。
• バッテリー：電圧降下により動作停止や予期せぬシャットダウン。

③ 使用環境によってリスクが高まる部位

• 砂塵の多い現場：光学系の汚れ・内部への細かい砂の侵入。
• 湿度が高い地域：レンズ内部の曇りやカビの発生リスク。
• 寒暖差が激しい場所：センサーの応答ズレや結露が発生。
• 交通量の多い現場：振動による視準ズレやエンコーダー異常。
• 屋内・内装現場：埃・粉塵による光学系の微細な汚れ付着。

④ 故障を防ぐための対策と保守方法

• 定期校正の実施：精度を常に確認し、ズレを早期に修正。
• 光学系クリーニング：レンズ・プリズムのくもり・埃を除去。
• バッテリー交換：劣化したものは早期交換で動作安定化。
• 防水・防塵ケースでの保管：機器保護により故障リスクを大幅削減。
• ファームウェア更新：動作安定性向上や機能改善に効果。
• 使用後の冷却時間：高温状態でケースに収納しないよう注意。

⑤ 故障ポイントと対策のまとめ表

⑥ まとめ：定期メンテナンスで中古機の信頼性を高める

中古トータルステーションは精密機器であるため、故障しやすい箇所を理解したうえで適切なメンテナンスを行うことが非常に重要です。
光学系・測距部・エンコーダー・補正ユニットなどを定期的にチェックし、早期対策を講じることで、長期間安定して使用できます。
整備履歴や校正証明が付いた中古品を選ぶことで、導入後のトラブルを大幅に減らすことが可能です。
正しい管理と点検を徹底し、中古トータルステーションの性能を最大限に活かしましょう。

よくある質問（FAQ）