中古トータルステーションの現場校正（簡易点検）のやり方日常点検で精度を維持するための実践ガイド

トータルステーション（TS）は精度が命の測量機器ですが、中古品では使用歴により誤差が蓄積している可能性があります。
現場で行える簡易校正（簡易点検）を習慣化することで、日常測量の精度と信頼性を大きく向上できます。
本記事では、中古トータルステーションの現場校正の基本手順と、チェックすべき重要ポイントを解説します。

① 現場校正（簡易点検）が必要な理由

• 中古機は精度の個体差が大きい：使用状況・落下歴などが精度に影響。
• 輸送・設置時の揺れ：ちょっとしたズレで測角誤差が発生することも。
• 温度変化の影響：特に光学系は気温差に敏感。
• 現場の状況に合わせて誤差を把握：簡単な点検で作業精度が安定。
• 手戻り防止：誤差を事前に把握することで測量トラブルを回避。

② 事前に確認すべき基本チェック

• 三脚の水平確認：気泡管が中央にあるか必ず確認。
• 機器の固定状態：ねじ・クランプが緩んでいないか。
• レンズの汚れ：視準誤差の原因になるため軽く清掃。
• バッテリー状態：電圧低下による誤作動を防ぐ。
• 温度への慣らし：寒暖差が大きい場合は10分ほど置いて安定させる。

③ 視準誤差の簡易チェック方法

• ① 遠方の固定物（電柱・建物角）を照準：位置をしっかり固定して視準。
• ② 180°回転して再度照準：同じ点に交差しない場合は視準ズレの可能性。
• ③ 2点以上で確認：1点のみでは誤差判別が難しいため複数点で実施。
• ④ プリズムを用いた場合：固定位置のズレがないかも確認。
• ⑤ ズレが大きい場合：現場では補正不可のため専門校正へ依頼。

④ 水平・鉛直角の誤差確認手順

• 水平角の簡易チェック：左右の同一点照準の差分を見る。
• 鉛直角のチェック：真上・真下を測り角度が異常でないか確認。
• 傾斜補正ユニットの動作確認：OFF/ONで角度が大きく変わらないか。
• 180°反転照準の比較：左右照準の誤差が大きければ調整が必要。
• わずかな誤差でも：日常点検の結果を記録して傾向をつかむことが大切。

⑤ 現場校正のポイントまとめ表

⑥ まとめ：簡易点検で中古TSの精度を長く保つ

中古トータルステーションは、適切な現場校正（簡易点検）を行うことで精度を安定して維持できます。
とくに視準誤差チェックや水平確認といった基本点検だけでも、誤差発生を大幅に防止できます。
日常の小さなチェックを積み重ねることで、測量品質の向上とトラブルの未然防止につながります。
大きなズレが確認された場合は速やかに専門業者での校正を行い、安全で正確な測量を続けていきましょう。

よくある質問（FAQ）