半導体製造装置向け中古ターボ分子ポンプの選定基準高真空・高信頼性を実現するポイント

半導体製造装置では、極めて高い真空性能・清浄度・安定性が求められるため、ターボ分子ポンプの選定は非常に重要です。
中古ターボ分子ポンプでも適切に選べば、コストを抑えながら高性能を確保でき、設備コストの最適化に貢献します。
本記事では、半導体製造装置向けの中古ターボ分子ポンプを選ぶ際に必ず押さえたい選定基準を詳しく解説します。

① 半導体製造に求められる真空性能とは？

• 高真空（10⁻⁴〜10⁻⁷ Pa）を安定維持：プロセスにより要求レベルが異なる。
• 低振動・低発塵：パーティクル汚染は歩留まりに直結。
• 反応ガスへの耐性：腐食性ガスを使用する工程も多い。
• 連続運転での安定性：生産ライン稼働率に影響。
• 停止時の安全性：異常停止の少ない制御が求められる。

② 排気速度（L/s）と到達圧の選び方

• 装置のチャンバー容量に合わせた排気速度：一般的には300〜2,000 L/sが使われる。
• プロセス要求に応じて選定：エッチング工程は高排気速度が必要。
• 到達圧確認は必須：中古では内部汚れによる性能低下の可能性がある。
• 回転速度（rpm）も要チェック：高速回転モデルは高真空性能に優れる。
• 粗引きポンプとの組み合わせも重要：到達圧はシステム全体の性能で決まる。

③ プロセスガスへの耐性と材質の確認

• 腐食性ガス対応モデルを選ぶ：Cl₂・F系ガスを使用する工程は要注意。
• 内部材質：ステンレス製ローター・特殊コーティングモデルが推奨。
• ガスバイパス機能：排ガス濃度を下げるための仕様確認が必要。
• 腐食歴の確認：中古品は内部に腐食の痕跡が残っていることがある。
• 使用環境の履歴確認：半導体装置のどの工程で使われていたか把握が大切。

④ 軸受方式（油潤滑・磁気軸受）の選定

• 磁気軸受式が一般的：非接触で低発塵・長寿命のため半導体用途で主流。
• 油潤滑式は一部用途で使用：安価だが発塵の懸念があるため用途限定。
• 連続運転の安定性：磁気軸受は24時間稼働でもトラブルが少ない。
• 加速・立ち上がり性能：高速応答が求められるラインに最適。
• 中古ではベアリング状態を最重視：異音・振動・温度上昇のチェックが必須。

⑤ 半導体用途で重視する選定基準比較表

⑥ まとめ：用途に最適化した選定で生産性向上

半導体製造装置向けの中古ターボ分子ポンプは、排気速度・到達圧・ガス耐性・軸受方式など、複数の要素を総合的に判断して選ぶ必要があります。
特に、内部の清浄度・腐食歴・ベアリング状態は中古品で大きく差が出るため、動作確認済み・整備済みの個体を選ぶことで、ラインの安定稼働を実現できます。
適切な選定を行うことで、新品の1/3〜1/5のコストで高い性能を確保でき、生産効率向上にもつながります。

よくある質問（FAQ）