過負荷・オーバースピンを防ぐ中古ターボ分子ポンプ運用方法安全運転で寿命を最大化する

ターボ分子ポンプは高速回転によって高真空を作り出す精密機器のため、過負荷やオーバースピンは重大な故障を引き起こす原因になります。
特に中古ターボ分子ポンプは、ベアリング摩耗や内部劣化の蓄積によりリスクが高く、適切な運用が必須です。
本記事では、中古ターボ分子ポンプで過負荷・オーバースピンを防ぐための具体的な運用方法と管理ポイントを解説します。

① 過負荷・オーバースピンとは？

• 過負荷：ポンプが処理できる以上のガス負荷がかかる状態。
• オーバースピン：許容回転数を超えてローターが回転してしまう異常。
• ベアリング損傷の原因：摩耗が進むことで異常回転が発生しやすい。
• コントローラエラーに直結：過電流や過加速異常として検知される。
• 中古品はリスクが高め：内部摩耗や過去の使用環境が影響する。

② 過負荷につながる主な原因

• 粗引き不足：前段ポンプが十分にチャンバーを排気できていない。
• リーク発生：チャンバーの気密不良によりガス負荷が増大。
• プロセスガスの流量過多：処理能力以上のガスが流入する。
• 冷却不足：温度上昇によって負荷が高まり異常停止の原因に。
• 内部汚れ：中古特有の問題で、ローター摩擦が増える。

③ オーバースピンが発生する状況

• コントローラ不具合：回転制御が適切に行われず異常加速する。
• ケーブル不良：制御信号が乱れ、誤った回転制御が実行される。
• 逆流現象：粗引き系のトラブルで回転が不安定に。
• ローター偏心：内部損傷によりバランスが崩れて制御不能に。
• 誤接続：互換性のないコントローラ使用でオーバースピンが発生。

④ 中古ターボポンプの安全運転方法

• 十分な粗引き後に起動：10〜100 Pa まで粗引きしてから起動する。
• ガス流量の管理：プロセスガスは許容流量以内に制御。
• 冷却ラインの確認：水冷・空冷ともに正常稼働を維持。
• リークチェックの実施：定期的な真空リーク検査で過負荷を防止。
• コントローラの互換性確認：型番一致の制御装置を必ず使用。

⑤ リスク要因と対策の比較表

⑥ まとめ：慎重な運転管理が中古利用の鍵

中古ターボ分子ポンプで過負荷やオーバースピンを防ぐには、粗引き・冷却・リーク管理・適正なコントローラ使用といった基本を徹底することが最も重要です。
適切な運用を行うことで、中古ポンプでも安定した真空性能が維持でき、寿命を大きく伸ばすことが可能です。
とくに中古品は内部摩耗が進んでいる場合もあるため、動作確認済み・整備済みの個体を選ぶことが安全運用の第一歩となります。

よくある質問（FAQ）