真空レベル（到達圧力）から選ぶ中古ターボ分子ポンプ用途に最適な真空性能を見極める

ターボ分子ポンプを選定する際、最も重要な指標のひとつが「到達圧力（Ultimate Pressure）」です。
特に中古ターボ分子ポンプでは、内部状態や使用歴により到達圧が変動するため、用途に合った真空レベルを確実に満たしているかがポイントとなります。
本記事では、用途ごとに必要な到達圧の目安と、中古品でも性能を見極める方法を詳しく解説します。

① 到達圧力とは？真空レベルの基本

• ポンプが到達できる最小圧力：理論値ではなく実環境での最低圧力。
• 10⁻³〜10⁻⁷ Pa が一般的：用途により要求レベルが異なる。
• 排気速度と同様に重要な指標：性能を総合的に判断する必要がある。
• ポンプの状態で大きく変動：中古では特に注意が必要。
• チャンバー側の状態も影響：リークやアウトガスでも結果が変わる。

② 用途別に必要な到達圧の目安

• SEM（走査電子顕微鏡）：10⁻³〜10⁻⁵ Pa 程度。
• XPS（X線光電子分光）：10⁻⁵〜10⁻⁷ Pa。
• AES（オージェ電子分光）：10⁻⁶〜10⁻⁷ Pa。
• 半導体プロセス装置：10⁻⁴〜10⁻⁶ Pa と用途により幅広い。
• 材料評価装置：一般的に 10⁻³〜10⁻⁵ Pa 程度で十分。

③ 中古ポンプの到達圧に影響する要因

• 内部汚れ・堆積物：羽根に汚れが付着すると性能低下。
• ベアリング摩耗：回転が不安定になり排気性能が落ちる。
• ローター偏心：バランス不良で極限圧力に影響。
• 冷却不足：温度上昇で性能が下がることも。
• コントローラの不具合：回転が規定値まで上がらない場合がある。

④ 到達圧性能を見極めるチェック方法

• 実測値の確認：販売業者が提示する到達圧データは必ず確認。
• 加速時間のチェック：規定値より遅い場合、内部抵抗増加が疑われる。
• 異音・振動の有無：ローター状態とベアリング劣化を判断する重要ポイント。
• 温度モニタリング：過熱は性能低下の兆候。
• 前段ポンプとの組み合わせ確認：到達圧はシステム全体で決まるため重要。

⑤ 用途別の必要真空レベル比較表

⑥ まとめ：到達圧を理解し適切な中古選定へ

中古ターボ分子ポンプを選ぶ際は、到達圧力が用途を満たしているかを最優先で確認することが重要です。
内部汚れ・ベアリング状態・冷却性能など中古ならではの要因で到達圧が左右されるため、実測データや動作確認済みの個体を選ぶことが成功の鍵となります。
適切な真空レベルを理解し、自身の装置に合ったポンプを選ぶことで、中古でも高い性能を確保し長期間安定運用が可能です。

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