中古プレスブレーキの曲げ精度と調整の考え方安定した曲げ品質を実現するための実務ポイント

中古プレスブレーキを導入または運用する際、「曲げ精度のバラつき」「角度が決まらない」「反りが出る」といった悩みが生じやすくなります。
これらの多くは、機械の特性・金型条件・バックゲージ調整・板材特性によって発生します。
本記事では、中古プレスブレーキで安定した曲げ精度を出すための基本的な考え方と、精度向上のための調整ポイントをわかりやすく解説します。

① 曲げ精度が安定しない主な原因

• バックゲージのズレ：左右の位置差・送り不良が角度バラつきの大きな要因。
• 金型摩耗・損傷：ポンチ・ダイが摩耗すると角度再現性が低下します。
• 油圧の経年劣化：中古機では油圧バランスの偏りが生じる場合があり、曲げ深さの差につながります。
• 板材の違い：材質・板厚変動・ロット差によりスプリングバック量が変わることが原因。
• 機械フレームのたわみ：大物曲げ時の負荷が原因で、中央と端部で角度が異なるケースがあります。

② 曲げ精度を左右するポイント

• 金型の選定：V幅・ポンチ角度・金型高さが製品精度に直結します。
• バックゲージの平行度：左右で位置ズレがあると、そのまま角度ズレにつながります。
• 油圧シリンダーの同期性：左右のシリンダー差は曲げ深さの差として現れます。
• スプリングバックの補正：材質に応じた角度補正設定が重要です。
• 板押さえ力：クランピング不足は板の浮きを招き、角度不良の原因になります。

③ 精度向上のための具体的な調整項目

• バックゲージの平行出し：左右の位置を基準ゲージで測定し、±0.1mm以内に調整します。
• 金型のセンタリング：ポンチとダイの中心を正確に合わせることで角度再現性が向上。
• 油圧のバランス調整：左右シリンダーの同期を点検し、油漏れ・油劣化がないか確認。
• 角度補正の設定：実測角度を元に補正値を入力し、ロット差への対応を容易にします。
• 金型の状態確認：摩耗・欠け・汚れなどを清掃・研磨し、必要に応じて交換。

④ 曲げ角度調整時の実務的注意点

• 試し曲げの実施：板材ロットが変わるたびに試し曲げを行い、角度差を確認。
• 中央・両端の角度確認：フレームたわみの影響を見るため、複数箇所で角度を測定します。
• 金型高さの統一：高さが異なる金型を混在させると角度が合わなくなります。
• 必要押し込み量の把握：材質ごとにスプリングバック量が異なるため、押し込み量のデータ化が有効。
• 安全対策の徹底：調整作業中の挟み込みリスクが高いため、非常停止を確実に使用。

⑤ 曲げ精度改善による効果一覧

⑥ まとめ：適切な調整で中古プレスブレーキの性能を最大化

中古プレスブレーキの曲げ精度は、機械特性・金型状態・調整方法の積み重ねによって決まります。
バックゲージの平行度、金型センタリング、油圧同期、角度補正などを確実に実施することで、安定した精度と高い生産性が得られます。
曲げ品質のバラつきが発生した場合は、機械側・金型側・材料側の要因を切り分けて点検することで、適切な改善につながります。

よくある質問（FAQ）